アメリカの不妊治療を行うクリニックの研究より
女性の病気で知られる卵巣のう腫は、不妊の原因の1つとしてもあげられている。10代、20代の若い女性にも多く見られ、悪性だった場合、手術による摘出が必要な場合もある。
科学ジャーナル「Fertility & Sterility(妊娠と不妊)」で発表された研究によると、片側卵巣摘出を受けた場合、残された卵巣は排卵数を補うよう、働きを向上させることがわかった。
この研究は、片側卵巣摘出の影響について調べるため、片側卵巣摘出を受けた女性と、受けていない女性とで、卵巣予備能と、性腺刺激ホルモンによる卵巣の反応について、コホート分析を行った。卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストラジオール(卵胞ホルモンの一種)、腔内の卵胞数、体外受精(IVF)のために取り出された卵胞数と卵母細胞数を測定した。
1つだけの卵巣で、より多くの排卵を補う働き
その結果によると、基本的なデモクラフィックと、卵巣予備能の血清マーカーに違いは見られなかった。卵巣が両方ある女性は、卵巣が1つのみの女性と比較して、より多くの卵胞の産出と卵母細胞数を持っていた。しかしながら、同側の卵巣を対象に比較した場合、卵巣が1つのみの女性の方が、腔内卵胞数、卵胞数と卵母細胞数がより多く見られた。
多変量解析を行った結果によると、卵巣が1つのみの女性グループは、同側の卵巣を対象にした場合、卵巣が両方ある女性グループの中央値よりも、多くの卵胞数、卵母細胞数を産出する可能性が高いことが示された。生児出生率は、両方のグループで同じだった。
この結果から、片側卵巣摘出後、残された卵巣は、卵胞の産出を補う働きをしていると考えられ、動物実験でも同様に確認された。
限りのある卵巣予備能、早めの治療を
卵巣が1つになっても、妊娠の可能性は少なくないようだ。しかし、卵巣予備能は生まれた時に決まっているため、妊娠可能な期間が短くなることが考えられる。より確実な体外受精も視野に入れて、より安心できる妊活に臨んでみては。

Fertility & Sterility
http://www.fertstert.org/