メラトニンと胚の発達についての研究
睡眠と関連しているホルモンのメラトニンが、胚の発達に重要な役割をしている可能性があることがわかった。
この研究は、米国生殖医学会(American Society for Reproductive Medicine、ASRM)が発行する医療学術誌、「生殖補助と遺伝学ジャーナル(Journal of Assisted Reproduction and Genetics)」に掲載された。
メラトニンは、体内時計と睡眠に関連するホルモンで、不眠治療に用いられている。強力な抗酸化物質としての作用や、DNAを保護する役割があることがわかっている。
この研究では、体外受精を行い、ガラス化(急速凍結)保存された、マウスの2細胞期の胚を対象に、メラトニンの抗酸化作用と抗アポトーシス作用(抗細胞自然死作用)について実験を行った。
メラトニンの濃度を変えた培地(1uM、1nM、1pM)と、メラトニンを含まない培地で、ガラス化(急速凍結)保存された2細胞期の胚を、メラトニンの濃度を変えた培地で培養した。メラトニンの濃度は、1uM、1nM、1pMと、メラトニンを含まないもので行った。
胚の発達率の向上とともに、細胞自然死率も減少
その結果によると、1pMのメラトニン濃度で、卵割と胞胚形成の率に、増加が見られた。1nMのメラトニン濃度では、栄養外胚葉と内細胞塊数が、著しく増加した。1nM、1pMのメラトニン濃度で、アポトーシス(細胞自然死)指数が著しく減少した。
また、抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)のレベルが、メラトニンを含まないグループと比較して、1nM、1pMのメラトニン濃度のグループで、大きく向上した。
この結果から、メラトニンの抗酸化作用と抗アポトーシス作用が、胚の保護に重要な役割を持つことが考えられる。
妊娠には食生活とともに睡眠も大切
メラトニンは、朝に光を浴び、夜にきちんと睡眠をとる、規則正しい生活をすることで、正常な分泌が促される。夜遅くなりがちな生活スタイルの人は、睡眠リズムを見直してみては。

Journal of Assisted Reproduction and Genetics
http://link.springer.com/