早発閉経の女性が妊娠・出産へ
聖マリアンナ医大(川崎市)の石塚文平特任教授らのチームは、先月30日付の米科学アカデミー紀要に、若くして月経がなくなった「早発閉経」の女性から卵巣を取り出し、卵子のもととなる「原始卵胞」を人工的に活性化させて妊娠、出産させることに世界で初めて成功したと発表した。
石塚教授らのチームが発表した治療法は、25歳で早期閉経と診断された女性に施したもので、女性の卵巣を腹腔鏡手術で摘出して一旦凍結保存し、休眠状態の卵子を解凍して細かく切断した上で、化学物質を加えて原始卵胞を活性化させ、その後、卵管に移植して、卵子に発育させ採取し、体外受精して再び子宮に戻すというものだ。
この女性は30歳で治療を受け、昨年12月に31歳で出産した。母子ともに異常はないという。
加齢に伴う不妊女性も視野に
石塚教授らのチームはこの治療法を早期閉経と診断された27人の女性に実施し、治療の結果、14人には原始卵胞が残っておらず、原始卵胞が残っていた13人のうち、3人のみが受精卵の移植にまで進み、このうち2人が妊娠し、1人は流産したと公表した。
国内には現在、40歳未満で卵巣の機能が衰え排卵しなくなる早発閉経の患者は推定10万人いるとされており、これまではホルモン療法や他人からの卵子提供を主な対処方法としていた。
今回の治療法を早発閉経の患者だけでなく、加齢に伴う不妊女性に対しても実施する方針であることから、今後、日本産科婦人科学会や厚生労働省と協議する。

聖マリアンナ医大
http://www.marianna-u.ac.jp/