大都市を中心に感染拡大
正月以来のまとまった休みがとれるとあって、ゴールデンウィークはどこの行楽地も大にぎわいだ。しかしながら、東京や大阪などの大都市では、風疹が大流行の兆しを見せており、その勢いは全国に広がりつつある。妊婦や不妊治療を行って、妊娠の可能性が考えられる女性にとっては、風疹に感染するリスクも高まってきている。
国立感染症研究所が発表した4月17日時点の風疹累積報告数によると、過去4カ月間の患者数は累計4068人となり、昨年1年間の2392人を上回った。
感染拡大の理由と今後の対策
では、今、なぜ、ここまで風疹が広がってしまったのか?一番の理由は、予防接種を受ける機会がなかった30代の男性の存在が挙げられる。男女とも23歳から25歳(1987年10月2日~90年4月1日生まれ)は個別接種、25歳から34歳(1979年4月2日~87年10月1日生まれ)では中学生時に医療機関で個別接種(接種率が低く、幼児期に選択接種している場合あり)をしているが、34歳以上(1979年4月1日生まれを含むそれ以前)の男性にいたっては予防接種が行われていなかったのだ。
画像はイメージ
風疹は風疹ウイルスを原因とし、せきやくしゃみなどで感染する。主な症状として赤いプツプツとした発疹、37度台の微熱、リンパ節の腫れなどが挙げられるが、重症化すると脳炎を発症して後遺症を伴う例もある。中でも一番怖いのが、妊娠初期に風疹に感染した場合、風疹ウイルスが胎児に感染して、出生児に難聴や心疾患などをもたらす「先天性風疹症候群 」を引き起こすことだ。家族や職場に女性がいる場合、風疹は女性だけの問題ではなく、男性にも関係のある話なのである。
また、女性の場合でも、34歳から51歳(1962年4月2日~1979年4月1日生まれ)は中学生時に集団接種を1回受けているだけなので、抗体が10年程度で減少することを考えると、免疫が弱まっている可能性もある。不妊治療を受けている割合が多い世代だけに、抗体があるかを確認しておくことも重要なことと言える。
ワクチン不足を補う裏ワザ
抗体が少ないことが判明した場合、再度、予防接種を受けることになるわけだが、ここで問題となってくるのが、風疹単体のワクチンの不足だ。ここ最近、予防接種を受けたいという患者が増えたこともあり、ワクチンを保有する医療機関が少なくなっているのだ。申し込み後数週間、待たされる例もあるという。
26日付のTBS「ひるおび!」に出演したナビタスクリニック立川(東京都立川市)の久住英二院長の話によると「内科では風疹単体のワクチンは不足している。料金は高くなるが、風疹とはしか(麻疹)の混合ワクチン(MR)であれば、小児科などで受けることができるのでは?」とコメントしている。
風疹の予防接種は生ワクチンのため、接種後、3カ月程度は妊娠を控えなくてはならず、妊娠中も接種できないことから、妊娠前に早めの対策を講じて、万全の態勢で赤ちゃんを宿して欲しい。

国立感染症研究所 感染症情報センター
http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html