IVFはがんのリスクになる??
IVF(体外受精)件数は、世界中で年々増加傾向にありますが、一方で赤ちゃんやお母さんの健康への気になる影響も多く報じられています。
その中でも、女性のがんのリスクが高くなるのではないかという、心配な指摘がされていました。今回、アメリカの調査機関がイスラエルの女性を対象に行った研究では、IVFと女性のがんには関連が見られないという報告が発表されました。
IVFによるがんのリスクで常に取りあげられてきたのは、排卵誘発剤の使用によるホルモンバランスの乱れです。これまでの調査でも、乳がんや卵巣腫瘍など、女性に特有の病気との関連が疑われてきました。
このように、女性のがんとIVFの関係は、これまでも様々な議論があったのですが、IVFを行った人がその後にがんになったという話はほとんど聞かない、というのが一般の印象でした。
67000人のデータをチェック。IVFとがんの関連はほとんど見られず
今回は1994年から2011年の間にIVFを行った67608人の女性と、IVF以外の不妊治療を行った19795人の女性の記録の分析が行われました。
この記録を、がん患者として登録されている記録と照らし合わせたところ、1509人ががんの診断を受けていたことが分かりました。けれども、IVFを行った人の間で、とりわけ乳がんにかかる人が多いという結果は見られませんでした。
また、卵巣がんのリスクがごくわずかに高いように見られましたが、これは分析の方法やデータの集め方によって、変化するとみられるほどのわずかな違いでした。
IVFを行った後にがんにかかったという女性の数が少ないため、今回の調査では科学的な根拠となるには至りませんでした。
同じような調査はこの後も引き続き行われていくと思われますが、いずれにしてもIVFとがんの関連性は、かなり低いと考えられるようになってきました。少しでも安心して治療に取り組めるようになりたいものです。

Study says IVF does not increase cancer risk
http://www.reuters.com/article/2013/02/18/In vitro fertilization and risk of breast and gynecologic cancers
http://www.sciencedirect.com/science/