大気汚染にさらされると妊娠中のトラブルのリスクアップ
大気汚染が、妊娠の経過に深刻な影響を及ぼすという心配な報告がありました。
これは、オンライン医学論文サイトのBMJ Openに掲載されたものです。スウェーデンの1998年から2006年の12万件以上の出産データを分析したところ、妊婦さんが喘息持ちで、妊娠初期にオゾン汚染にさらされると、妊娠高血圧腎症や早産のリスクが高くなるというものです。
妊娠高血圧腎症では、妊娠中や分娩時に、妊婦さんの血圧が急激に上昇し、脳に影響が及んでけいれんなどを伴う子癇へと進行することも多く、非常に危険な状態です。
特に危険なオゾン汚染
調査では、データを妊婦さんが喘息持ちかどうか、大気汚染にさらされたかを分析しました。大気汚染では、オゾン汚染と排ガス汚染のレベルとの関連性を追跡しました。すると、妊娠高血圧腎症の20件に1件は、妊娠初期に高濃度の大気汚染にさらされた妊婦さんでおこっていることが分かったのです。
また、大気汚染では妊娠高血圧腎症のリスクが2.7%、早産リスクが4.4%と高くなっていました。汚染原因では、排ガス汚染のレベルと妊娠高血圧腎症には関連がなかったにもかかわらず、オゾン汚染では、空気中の汚染濃度が上がると、リスクも高くなることが明らかになりました。
喘息持ちなら なお注意
また、元々喘息持ちの妊婦さんでは、早産も妊娠高血圧腎症も10%もリスクが高くなることが分かりました。大気汚染とリスクの関係は、炎症反応によるものと分析されていますが、喘息自体が炎症反応のひとつです。よく、花粉症の説明で「グラスがいっぱいになると症状が出る」という表現が使われますが、大気汚染に関しては喘息持ちの妊婦さんは元々「グラスにある程度中身が入っている状態なので、他の人よりもグラスがいっぱいになるのが早い」という状況にあるのだと見られています。
きれいな空気の大切さを再認識させられます。まさに、生まれてくる赤ちゃんのために、環境保護に努めなくてはいけませんね。

Air pollution exposure in early pregnancy and adverse pregnancy outcomes
http://bmjopen.bmj.com/content/3/2/