作家・金原ひとみ
芥川賞も受賞した、金原ひとみさんのデビュー作である「蛇にピアス」。映画化もされ、その赤裸々な性描写や若者独特の空気感を見事に描き大きな話題を呼んだ。
その後結婚、出産を果たし、「マザー」を出版。自身の子育て経験を基にしたその小説には、深いリアリティーと力強さがあった。
その金原さんが、「マリアージュ・マリアージュ」を発表した。これは、年齢も環境も全く違う何組ものカップルの“破滅”を描いた短編集だ。
新作「マリアージュ・マリアージュ」
全6篇の物語で構成された「マリアージュ・マリアージュ」。その中には、妻に家を出られ、幼い娘と必死に向き合う夫を描いた「仮装」。自身が不妊であることを婚約者に打ち明けられずに悩む女を描いた「婚前」などが収録されている。
金原さんは
「破滅の瞬間に、人間のむき出しの姿が現れる。その姿を、美しく削られたバカラ(仏高級ガラスメーカー)のグラスのようにではなく、瓶底を割られたビール 瓶のように書きたかった。作り込まず、『明日自分にもこんな瞬間が訪れるかもしれない』というリアリティーをもたせたいと思いました」
と語っている。

新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/book/304533/