ビスフェノールA(BPA)の及ぼす影響
イリノイ大学の生物科学者ジョディ・フローズ博士(Jodi Flaws)は、数年前より、産業化学化合物「ビスフェノールA(BPA)」が女性に対して与えるリスクに関する検証を続けている。
「ビスフェノールA(BPA)」はポリカーボネート(プラスチックの一種)の原料であり、家電製品などプラスチック製品に用いられる。
既存の研究では「ビスフェノールA(BPA)」は子宮の発育を妨げ、ホルモン分泌を止めると示唆していたが、具体的な影響については解明されていなかった。
フローズ博士は、マウスを用いた実験より「ビスフェノールA(BPA)」は卵胞や濾胞(卵巣内に存在する、卵細胞を覆う球状の細胞)を縮小させ、女性生殖ホルモン「エストラジオール(エストロゲン)」の分泌量を減少させると明らかにした。
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ビスフェノールA(BPA)と女性不妊
実験結果を受け、科学者らは「ビスフェノールA(BPA)」を卵巣毒性と考え、女性不妊の要因に成り得ると懸念している。
最近の研究では、体外受精による不妊治療中の女性80%が尿内のBPA値が高いと判明した。BPA値が高い女性は「エストラジオール(エストロゲン)」値が低くなり、卵細胞が少ない傾向にあった。また、「ビスフェノールA(BPA)」は卵母細胞の生育を妨げ、染色体損傷の指標になるという。
ビスフェノールA(BPA)の除去
約90%の人々は尿内のBPA値が高いものの、不妊症に悩む人々は10%程度である。「ビスフェノールA(BPA)」は女性不妊の要因であるとは断定できないが、不妊症に影響を与える要素ではある。
研究者らは、日常生活にて「ビスフェノールA(BPA)」を含む製品を使用しないことを推奨している。具体的には、缶詰製品より瓶詰製品を選ぶ、プラスチック容器を電子レンジで使用しない、ペットボトルなどプラスチックボトルを避けるなど挙げられる。

The New York Times blog
http://well.blogs.nytimes.com/about health
http://infertility.about.com/