男性不妊に関する2種類の研究
今月、男性不妊に関する2種類の研究報告書が発表された。(「Environmental Science and Pollution Research International」掲載、「Fertility and Sterility」掲載)
研究は別々の機関にて実施されたが、両報告書では内分泌攪乱物質「フタル酸」は男性の生殖能力を低下させると結論付けている。
(画像はイメージです)
全インド医科大学による研究(Environmental Science and Pollution Research International掲載)
全インド医科大学(AIIMS)はインド・ニューデリーにて不妊治療を受けるカップル60組のうち、男性を対象に精液検査と血液検査を実施した。
研究より男性の血液内におけるフタル酸(DEHP、DBP、DEP)と不妊症は比例関係にあることが明らかとなり、フタル酸量が多い男性ほど不妊症に悩んでいる傾向だという。
また、フタル酸に加え、鉛やカドミウムは精液の質(精液濃度、精子運動率)を低下させ、DNAを損傷させる要因であると判明した。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)による研究(Fertility and Sterility掲載)
アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、ミシガン州やテキサス州よりLIFE(the Longitudinal Investigation of Fertility and the Environment)研究に参加した自然妊娠を希望しているカップル501組のうち、男性を対象に調査した。
2005年から2009年まで5年に及ぶ研究期間中、自然妊娠に至らなかったカップルのうち、女性よりも男性のほうがフタル酸(mMP、mBP、mBzP、mECPP)の増加量は著しく高く、フタル酸(mMP、mBP、mBzP)レベルが高いと妊娠に至るまで時間を要すると分かった。
現段階での認識
これまでのところ、ビスフェノールA(BPA)とフタル酸は不妊治療の成果を低下させる要因と認識されている。妊娠中の女性(不妊治療により妊娠に至った女性)におけるビスフェノールA(BPA)量は流産のリスクを高め、体外受精前後に生じる問題、精子欠陥やDNA損傷を引き起こすという。
なお、フタル酸はプラスティック製品、食品容器、医療用チューブ、デンタルシーラント(充填材)、ポリ塩化ビニル、電子機器、化粧品など様々な製品に用いられている。
研究者は、プラスティック製品に用いられる化学薬品は男性不妊の要因となる可能性を示唆している。現段階では、このような製品の使用を最低限に留めることが最善策と言えるだろう。

LIBERTY VOICE
http://guardianlv.com/2014/05/Environmental Science and Pollution Research International
http://link.springer.com/article/Fertility and Sterility
http://www.fertstert.org/article/