がん治療と不妊症の関係
抗がん剤や放射線を使った治療や外科手術の中には、精巣機能障害や射精障害、精路の閉塞をきたし、無精子症になってしまうものがある。
がん治療を行うことで子どもを持つ望みが絶たれてしまう人を増やさないため、2012年11月3日、医師らによって「日本がん・生殖医療研究会」が発足された。
これは、治療を行う前に、卵子や精子、生殖組織などを凍結保存することで、がんを克服した後に子どもを持てる可能性を残す手法の研究推進と普及を目指し作られた会だ。
研究会の内容とは
この研究会では、生殖機能の凍結保存安全に実施するための指針作りや、認知度の向上を図る。また、専門のウェブサイトを開設し、一般の人たちにも情報を提供していく方針だ。
また、会には生殖医療やがんを専門とする医師ら17人が参加しており、聖マリアンナ医大産婦人科の教授である鈴木直氏が代表を務める。
一部の抗がん剤を投与された男性の90-100%が急性の無精子症になるというデータも出ている。今回の研究会発足を機に、生殖組織の凍結保存が一般的になり、がん治療によって子どもを諦める人が一人でも減ることを祈る。

日本経済新聞
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