ブラジルではテレビドラマが教育の普及や出産率に影響
人気テレビ番組が、見る人の価値感に影響を与えるってこと、ありますよね!この影響が、アメリカの経済誌に論文として発表されたのです。
ブラジルでは1960年代からの30年間で、教育が急速に普及しました。そして、この上昇率は、テレビの普及率とも重なっています。人々は、学校教育そのものだけでなく、テレビ番組を通じて、教育が家族や人生を豊かにすることを感じ取っていったのです。
ヒロインはシングルが圧倒的、社会で認められるサクセスストーリーが人気
歴史的に、社会的地位などにかかわらず、ブラジルの多くの人たちが、午後8時のテレビドラマを見ているとされています。特に人気の高いGloboグループで、1965年から1999年に放送された、115本の番組を分析したところ72%の主役は50歳以下の女性で、子どもがおらず、21%は子どもが1人いました。
ブラジルの女性1人当たりが生涯で出産する子どもの数は、1960年では6.3人、1970年で5.8人、1980年で4.4人、1991年で2.9人、そして2000年で2.3人となっています。これはドラマの主人公はあまり子だくさんではないという状況を反映しているようなのです。
ブラジルでは、この現象は政策として取り組まれた結果でないどころか、宗教的な価値観も相まって、避妊具のコマーシャルも、違法とされてきたのです。
もちろん、経済的な影響があることは事実です。物価が上昇すれば多くの子どもを養うことが難しくなるために、自然に歯止めがかかります。
こうしたことをあわせても、テレビドラマが出産率の低下に与えた影響は大きいとされています。
ドラマの主人公の背景によって出産率も変化
テレビドラマでは、低所得層で教育レベルが低く、文字から情報収集を行わない人たちの間でより強い影響が見られます。また、その影響は主人公の女性と近い年齢層の人たちに特に強く表れることが分かりました。
ドラマのストーリーで、例えば主人公の貧しい女性が努力して教育を受け、幸せな人生をつかむ、とようなサクセスストーリーが発信されると、その年の出生率の低下がより著しくなるのだそうです。
子どもの数以外でも、ヒロインの名前はその年の子どもの名付けにたびたび登場するという影響も見られました。
日本でのテレビドラマでは、最近は子どもが主役だったり、家族の温かさを描いたものが人気となってきています。私たちがあったかな家庭にあこがれるのも実はそんな影響があるのかも知れませんね。

Converssable Economist ; Brazilian Soap Operas and Fertility Rates
http://conversableeconomist.blogspot.com/2012/10/