実はゆっくりが強かった?
受精の時は、億を超える数の精子が卵子に向って泳いでいくことはよく知られています。これまでは、一番早くに泳ぎ着いた精子が「勝利者」になると考えられていました。
ところが、アメリカの大学の研究で、勝利者は、ゆっくりと泳いだ精子になるという可能性が発表されました。
この発表は、ニューヨーク州シラキュース大学の研究員、ステファン・ルポールド氏が、ヒトの受精のメカニズムと近い、ハエの一種を使って行ったものです。Current Biologyのオンライン版に掲載されました。
原因はまだ不明。長い精子も勝利の確率高しこれによると、精子は一定の場所で排卵を待ちますが、この時にゆっくりと泳いでいる精子の方が、受精に至る可能性が高かったそうです。ルーポルド氏は、ゆっくり泳ぐ精子の方が、他の精子との衝突のショックが少ないのでダメージが少ないのかもしれないし、実は精子の競争ではスピードは最初から問題にならないのかもしれない、と考察しており、因果関係は明らかになっていないとのことです。
スピードの他の要素では、長さが長い精子の方が、受精に至る可能性が高かったとのことです。
今後同じ様な研究が、ヒトを対象に行われるようになると、様々な疑問が解決されることになりそうです。

シラキュース大学 ; For sperm, faster isn’t always better
http://www.syr.edu/news/articles/2012/Current Biology ; How Multivariate Ejaculate Traits Determine Competitive Fertilization Success in Drosophila melanogaster
http://www.cell.com/current-biology/abstract/