IVFが始まった国イギリスは最もIVFが受けにくい国?
IVFが初めて成功した国イギリスは、ヨーロッパ一経済的な面で不妊治療を受けることが難しい国だという、皮肉な状況がささやかれています。専門家の間では、イギリス政府の保健医療機関はIVFの提供に関しては非常にお粗末だというのはすでに通説となっているそうです。
補償額トップのベルギーは件数もイギリスの3倍
グロニンゲン大学のマーク・コロニー医師が2007年からの欧州23ヶ国の不妊治療状況を分析しました。そのなかでも最も高額の支給がカバーされる国は、ベルギー、フランス、スロベニアの3ヶ国でした。イタリア、モンテネグロ、ポルトガルでも英国よりも高額の支給が受けられています。
これを反映するかのように、ベルギーでは年間2500件近くのIVFが行われているのに対し、イギリスでは825件にとどまっています。専門家は、このデータは、イギリスで経済的な事情で不妊治療を断念しているカップルが多いことを示していると分析しています。このような状況を受けて、英国不妊治療協会は、政府機関にむけて、より多くの人たちが不妊治療を受けられるようにするべきだと提案しています。
補償額アップと予算捻出のジレンマ
英国国立臨床研究所のガイドラインでは、1回3000ポンド(40万円弱)の費用がかかるIVF治療を3サイクルは無料で受けられるようにするべきだとしています。最新版のガイドラインの草稿では、こうした保証は年齢の制限についても引き上げられる方向が示されています。
もしも、英国国立臨床研究所のガイドラインに従うのであれば、IVF治療はおそらく3倍程度に増えると見込まれています。しかし政策上、IVFの費用をどのように捻出するかという点が難しいところです。
IVFなどの高額な不妊治療は、イギリスに限らず、日本でも不妊に悩むカップルの悩みの種となっています。ベルギーのように、安心して不妊治療を受けられる国が増えていくことに期待したいものです。

BBC News ; Funding of IVF in the UK 'is feeble'
http://www.bbc.co.uk/news/health-18675858