これまでの常識、実は根拠がなかった
虫垂炎(盲腸)で手術を受けることは女性の妊娠には影響しないことが分かりました。これまで、特に根拠もなく、盲腸の手術は不妊の原因になると言われてきましたが、今回の発見でこの説が覆されました。
イギリスの研究チームの報告では、虫垂切除術(盲腸の手術)を受けた女性は、そうでない女性に比べて、その後に妊娠・出産に至っている人がむしろ多かったそうです。
これまでは虫垂切除術は、不妊のリスクがあるというのは、専門家の間でも一般の人たちの間でも、もはや常識となっていました。アメリカでは盲腸はとても一般的な病気で、14人に1人がこの病気を経験するとされています。多くの人は10歳から30歳の間にかかるといわれています。
手術を行わずに、盲腸の延長がすすみ、「破裂」してしまうと、お腹の中に細菌や膿が回ってしまうことで、骨盤内に感染が広がり、これが卵管の癒着などを起こして不妊の原因となることがあります。
実際のデータでは、手術を経験した人の出産率が高かった
いくつかの小規模な調査で、盲腸の手術を受けた女性が出産する確率が高く出ていることから、研究者たちは様々な規模で調査を行いました。最大規模では、データベースから76000人の盲腸の手術を経験した女性の情報の分析を行いましたが、このうち39%は手術から10年以内に妊娠していました。
一方で手術を受けていない女性は2倍近い人数に上りましたが、年齢や避妊状況、他の健康状態などを考慮しても、その後の妊娠が28%という結果になりました。
この報告から、盲腸の手術が不妊の原因になるという考えは過去のものとなりましたが、専門家たちは、手術を受けているからといって妊娠の確立が上がるとの解釈は、さらなる調査を進めて慎重に行っていく必要があるとしています。

Chicago Tribune Health ; Appendectomies no threat to fertility, study says
http://www.chicagotribune.com/health/