電磁波が精子に悪影響?
無線LANはとても便利なものですが、近年、それが男性不妊の原因となり得るのではないか、という議論が起こっています。無線接続によって発生する電磁波が、男性の精子に悪影響を及ぼす恐れがあると言われているのです。
過去の研究では……
これまでに、無線LANと男性不妊との関係を調べる研究がいくつか行われています。代表的なものが、今年1月にFertility and Sterilityオンライン版にて発表された調査です。
この調査では、研究者たちは29人の男性(26歳~45歳)の精子を採取し、無線接続されたノートパソコンの真下、もしくはノートパソコンから遠く離れた場所に配置しました。そして、そのノートパソコンは4時間にわたって、データのアップロード・ダウンロードを続けました。
そして4時間の実験後、ノートパソコンから遠く離れた場所に配置され、電磁波の影響を受けなかった精子においては、14%が活動を停止し、3%に遺伝子の損傷が見られました。しかし、ノートパソコンの真下に配置され、4時間にわたって電磁波の影響を受け続けた精子においては、25%が活動を停止し、9%に遺伝子の損傷が見られたのです。
しかしこの実験はあくまでも、事前に採取した精子そのものをノートパソコンの真下に配置するという、人工的につくられた状況下にて行われたものです。よって、実際に男性が無線接続でインターネットを使用することで不妊につながるかどうかというと、それはまだ決定的ではないとのことです。
今後のより深い調査に期待
無線LANと男性不妊との関係については、今後のより深い調査が必要とされています。
しかし間違いなく言えることは、無線かどうかに関わらず、男性がノートパソコンを膝の上に置いて使用することは良くないということ。ノートパソコンから発生する熱によって、精子が損傷してしまう可能性があるためです。
あまり過敏になりすぎるのも良くないですが、特に無線である必要性がないのであれば、これからインターネットは有線接続にしてみてもいいかもしれません。

Use of laptop computers connected to internet through Wi-Fi decreases human sperm motility and increases sperm DNA fragmentation
http://www.fertstert.org/article/