日常生活で触れる化学物質が不妊の原因に?
環境の中の化学物質が、一部の男性では不妊につながる可能性を示す報告が現れました。
日常生活では、化粧品や洗剤など様々な人工的な物質に触れる機会があります。こうした人工化学物質の一部は、体に本来備わっている情報伝達の仕組みに悪影響を及ぼすことがあるのではないかとささやかれてきました。
人工化学物質にさらされた羊は42%で精子が減少
スコットランドの大学やフランスの国立研究所の科学者がともに行った研究では、化粧品や洗剤など人間が接触する機会の多い人工化学物質を含む環境に羊をおいて観察しました。母親羊の妊娠中からその羊が生殖能力を備えるまで、こうした人工化学物質にさらされてきた羊の精巣を調べたのです。その結果、42%という高い数値で、精子の減少が見られたのです。
科学の進歩と同時に、子どもの数が減ったり、体外受精の件数が増えてきているのは、こうしたことも原因の一つと考えられます。
微量でも長期的に見ると影響が。予測は困難
この影響は、個体により様々で、精巣のサイズや男性ホルモンの数値と行ったことには関連は見られなかったため、外からの環境が及ぼす影響と解釈されました。
この結果から、環境における人工化学物質は、それが例え1種類のみで、どんなに微量だとしても、長い将来で健康に及ぼす影響があることが分かりました。様々な物質が混じり合った現実では、実際のところどれほどの影響が出ているかを予測することは難しいそうです。
この研究では、母親羊の妊娠中についても調査していることから、男性女性にかかわらず、人工化学物質は、妊娠に何らかの影響を与える可能性があるとしています。

BBC News ; Chemicals in environment 'damaging male fertility'
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-glasgow-west-18071851