「産後うつ」は遺伝子的なもの?
イギリスのウォーリック大学メディカルスクールによると、同大学の研究によって、女性が「産後うつ」になりやすいかどうかは、遺伝子的なものである可能性が高いということが判明しました。同大学が5月9日に発表しました。
「産後うつ」とは、分娩直後の数週間~数ヶ月に見られる、心理的障害のことです。悲嘆、無気力、不安感、焦燥感、不眠などの症状が見られ、平均で7人に1人の女性がなると言われています。
生まれてきた自分の子どもに愛着を持てなかったり、育児をする気力がなくなってしまったりするため、非常に深刻な問題と考えられています。
受容体遺伝子の変異体
今回は、ウォーリック大学の研究者たちが、200人の妊婦を対象として、出産前と出産後に2度の調査を行いました。
その結果、出産後に産後うつの症状を引き起こした女性には、糖質コルチコイド受容体、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体1型という2種類の受容体遺伝子に、DNA配列の変異体が多く見られたのです。
これらの受容体は、ストレス応答に働く経路の1つである「視床下部・下垂体・副腎皮質系」の活動をつかさどっています。そのため、一部の女性は遺伝子的に、ストレスを引き起こす環境要因に敏感であるのではないかいう結論に達したのです。
研究チームは今後、「視床下部・下垂体・副腎皮質系」に関わる受容体遺伝子の変異について、さらなる調査を進めていく予定だとのことです。
「産後うつ」を防ぐために
同大学のGrammatopoulos教授は、こう語っています。
もし「産後うつ」になりやすい女性を事前に判別することができれば、早い段階で適切な対処をすることができる。そして、母親の人生だけでなく、その子どもの人生をもよりよいものにすることができるはずだ。
「自分がストレスをためやすいのは、遺伝子的なものなのだ」とわかるだけでも、少しはストレスが軽くなりそうですね。今後のさらなる調査に期待がかかっています。

Warwick Medical School
http://www2.warwick.ac.uk/fac/med/news/news/blood_test_could/