不妊の大敵ビスフェノールA
アメリカ・ハーバード大学の研究員たちの新たな調査によって、化学物質「ビスフェノールA」の体内への過度な蓄積は、女性の不妊治療を妨げるということが判明しました。Mother Nature Networkが5月17日に報じました。
ビスフェノールAは、主にプラスチック(ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂)の原料として利用されています。食品用容器や缶詰の内部塗装から食品へと移行することがあり、ごくわずかですが、知らないうちに摂取してしまう可能性がある物質です。
調査の内容は?
長年の研究により、このビスフェノールAが生物の生殖機能に何らかの悪影響を与えるということはすでに判明済みです。過去の調査では、摂取によって雄のマウスが雌のように振る舞うようになったり、人間の男性の精子の質を低下させたりといった結果が出ています。
そして今回の新たな調査によって、不妊治療中の女性にも悪影響を与える可能性があるということがわかったのです。
今回の調査は、Massachusetts General Hospital Fertility Centerで不妊治療を受けている137人の女性を対象に行われました。尿から検出されたビスフェノールAのレベルごとにグループ分けされ、彼女らが妊娠するまで、または不妊治療を中止するまで観察が進められました。
そして結果は、尿内のビスフェノールAが高レベルだった女性たちは、それが低レベルだった女性たちに比べて、妊娠しにくいというものでした。女性の年齢や受精卵移植が行われた日付、不妊治療のプロセスなどの外部要因を考慮に入れたとしても、不妊治療の失敗は、尿内のビスフェノールAが高レベルだった女性たちに多く見られたのです。
缶詰生活はなるべく避けて
厚生労働省によると、日本国内で製造されている食品用容器や缶詰に関しては、代替品への切り替えや技術改良によって、なるべく人間のビスフェノールA摂取が少なくなるよう取り組みが進んでいるとのこと。
とはいえ、できることなら避けておきたいところですね。不妊治療中の方はなるべく缶詰(特に輸入物)・レトルト生活などは避け、しっかり栄養が取れるよう自炊に努めたいものです。

BPA may block in vitro success
http://www.mnn.com/family/babies-pregnancy/blogs/bpa-may-block-in-vitro-successビスフェノールAについてのQ&A – 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html