妊娠中のカフェイン摂取による影響
2月4日、ロチェスター大学メディカルセンター(URMC)デルモンテ神経科学研究所(アメリカ)は、同大学プレリリースを通じて、妊娠中のカフェイン摂取によって胎児脳の構造は変化し、将来的に子供の行動問題リスクを高めると発表した。研究論文は「Neuropharmacology」に掲載されている。
先行研究では、カフェインは妊娠に対して否定的影響を与えると報告されている。今回、妊娠中のカフェイン摂取は、子供の神経発達に長期的な影響を及ぼし続けることが認められた。母親が妊娠中にカフェインを摂取していた場合、子供は母親の子宮内にてカフェイン曝露を受け、脳構造に変化が生じたという。
妊娠中のカフェイン摂取と子供の脳構造における関係性
胎児には、カフェインの分解に必要とされる酵素がない。それゆえ、妊娠中の母親がカフェインを摂取した場合、カフェインは胎盤を通過し、胎児はカフェイン曝露を受ける。
研究チームは、脳発達と子供の健康に関する大規模かつ長期的な調査「ABCD」を通じて、9歳から10歳の子供9000人以上を対象に脳画像を撮影し、脳構造を解析した。
妊娠前の母親のカフェイン摂取量に基づき、妊娠中のカフェイン摂取と子供の脳構造における関係性を検証したところ、妊娠中にカフェインを摂取していた母親から誕生した子供は、在胎期にカフェイン曝露を受けていない子供と比べ、脳構造が異なった。
母親が妊娠中にカフェインを摂取していた場合、その子供は子宮内にてカフェイン曝露を受け、白質路(灰白質の内側にある神経細胞の連絡路(軸索))に明白な変化が認められた。白質路の変化は、子供の精神状態には影響しないものの、最小限だが目立つ行動上の問題を引き起こす要因に成り得るという。
今回、妊娠中のカフェイン摂取が胎児の脳構造に影響を与えることは確認されたが、妊娠期間を通じたカフェインの影響程度、カフェインによる胎児脳の変化が生じるタイミングは解明に至らなかった。
つまり、カフェインによる影響が妊娠期間(妊娠初期・中期・後期)を通じて変化するのか、胎児脳の構造における変化は妊娠期間中に生じるのかは不明である。
研究チームは、妊娠中のカフェイン摂取による影響を考慮したうえで、世界保健機関(WHO)ガイドラインより厳しく、妊婦に対して1日あたりのカフェイン摂取量を200mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)に制限するよう推奨する。
(画像はプレスリリースより)

UNIVERSITY OF ROCHESTER MEDICAL CENTER
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