無月経状態に対する効果的な治療
1月26日、ロシアの研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、ゴナドトロピン低下性卵巣症候群(40歳未満で無月経となる状態)の女性において、体外成熟培養(IVM)は効果的なアプローチであると発表した。
なお、体外成熟培養では、成長過程の卵子を早めに採卵し、体外で卵子を成熟させる。今回、未熟な胞状卵胞を採取して体外にて培養したところ、約半数が精子と受精できる状態まで成熟し、治療効果が認められた。
続発性無月経に対する体外成熟培養による効果
研究チームは、ゴナドトロピン低下性卵巣症候群の女性(23歳)を対象に、体外成熟培養による効果を検証した。女性は続発性無月経であり、生理的無月経(妊娠中、産褥期、閉経後など)は除き、これまであった月経が3ヶ月以上停止した状態であった。
卵巣刺激ホルモン(FSH:25.34 mIU/mL)と黄体形成ホルモン(LH: 29.6 mIU/mL)は高く、一方、エストロゲン値(15.2 pg/mL)は低かった。また、胞状卵胞数(AFC)の増加に伴い、生殖ホルモンであるAMH(アンチミューラリアンホルモン/抗ミュラー管ホルモン)は、高い値(38.0 ng/mL)となった。
性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)にて刺激せず、採卵を経腟超音波ガイド下に行った。胞状卵胞15個を採卵し、体外成熟培養にて成熟させたところ、卵子6個が第二減数分裂中期(精子と受精できる段階)まで達した。
第二減数分裂中期の卵子6個に対して卵細胞質内精子注入・顕微授精(ICSI)を行い、うち3個が胚移植できる段階まで成長した。受精卵着床前検査(PGT‐A)では、卵子3個中2個は、胚移植に適したグレードであると評価された。
(画像はSpringer Linkより)

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