授乳期の食事と子供への影響
チャルマース工科大学(スウェーデン)の研究チームは、「Nutrients」にて、授乳期の母親が牛乳を飲むことにより、子供の食物アレルギーリスクが軽減すると発表した。
今回、牛乳には、食物アレルギーを予防する効果があると認められた。食物アレルギーは、遺伝的要因を含めて複数要因が関与する。両親の食事は、直接的に子供のアレルギーに影響を与えるといわれる。
母親の牛乳摂取と食物アレルギーにおける関係性
研究チームは、2015年から2018年の期間にて、スウェーデン人の家族655組を対象に、母親の食事と子供(1歳)の食物アレルギーにおける関係性を検証した。
スウェーデン人の母親500人以上を対象に食生活を調査したところ、食物アレルギーのない1歳児の母親は、食物アレルギーをもつ1歳児の母親と比べて、牛乳の摂取量が多いことが認められた。
母親が摂取した牛乳には、免疫システムの成熟を刺激する物質が含まれると推測される。初期発達段階にある子供にとって、免疫システムへの刺激は、多種多様な食物に対する耐性を獲得するうえで重要である。
また、衛生仮説(乳幼児期のウイルス・微生物曝露がアジュバント(補助剤)として働き、アレルギー疾患の発症を抑制する現象)では、発達段階の早いうちに多様な微生物に接触することにより、子供の免疫システムが促進すると考えられる。
牛乳の主成分である乳脂肪には、多価不飽和脂肪の摂取を抑制する作用がある。牛乳の摂取量に伴い、乳脂肪が多価不飽和脂肪の摂取量を減少させる。母親の食事に含まれる多価不飽和脂肪は、幼児期の子供の免疫システムにおける成熟を抑制する。
それゆえ、研究チームは、母親が牛乳を飲むことにより、子供の免疫システムの成熟が促され、食物アレルギーリスクが軽減すると考える。
(画像はプレスリリースより)

CHALMERS
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