子癇前症の発症リスクを高める要素
キングス・カレッジ・ロンドンの研究チームは、「Nature Communications」にて、「InterPregGen(the International Pregnancy Genetics study)」を通じて、子癇前症の発症リスクは血圧およびBMI値に関連すると発表した。
なお、欧州連合(EU)は、科学技術・イノベーション政策の中心的な枠組みプログラムを進めている。
「InterPregGen」は第7次枠組みプログラム(FP7: Framework Programme 7)となり、イギリス、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、カザフスタン、ウズベキスタンの産科医、助産師、遺伝学者が参画した。
子癇前症と遺伝子変異型における関係性
今回の研究では、ノッティンガム大学が主導となり、5年間に亘って、母体の遺伝的変異と子癇前症リスクにおける関係性を検証した。
子癇前症は、妊娠期の高血圧、タンパク尿を特徴とする疾患であり、妊婦のうち5%に症状が出るといわれる。遺伝的リスクが大きく、子癇前症の家族歴によって発症リスクは増す。
研究チームが子癇前症の女性9515人、子癇前症でない女性157719人を対象に遺伝子構造を比較したところ、子癇前症の危険因子として、ZNF831遺伝子およびFTO遺伝子におけるDNA変異型を特定した。これまで、ZNF831遺伝子およびFTO遺伝子は血圧との関連性、FTO変異体はBMI値との関連性が認められている。
また、血圧は、MECOM遺伝子、FGF5遺伝子、SH2B3遺伝子の変異型と関連し、さらに、これらの遺伝子と子癇前症における関連性も明らかとなった。遺伝子変異型は、子癇前症リスクを10%から15%増加させるという。
研究を通じて、高血圧の全体的な遺伝的素因は、子癇前症の主要な危険因子となり、変異型単体では影響力は小さいが、複数の変異型が合わさることによってリスクを増大させると結論付けられる。
(画像はプレスリリースより)

KING’S College LONDON
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