出産回数と閉経後の老化速度
ペンシルベニア州立大学の研究チームは、「Scientific Reports」にて、出産回数は身体の老化プロセスに影響を及ぼし、閉経後の老化速度を加速させる要因になると発表した。
妊娠・出産が母体に与える影響
妊娠・出産は、複数の生理学的システムに変化および調節不全を引き起こす。妊娠中および授乳中、母体に生じる代謝・免疫・内分泌的な変化は、妊娠および生殖投資に関連する複数の疾患リスクに一致する。
また、妊娠および授乳に伴うエネルギー消費量は大きく、母体において、多量の身体エネルギーを必要とする。身体エネルギーの大量消費は、免疫機能、代謝システム、血圧などに大きな影響を与える。
出産回数と人体の老化プロセスにおける関係性
研究チームは、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)実施「The National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)」を用いて、女性4418人分のデータを対象に、出産回数と人体の老化プロセスにおける関係性を検証した。
代謝、腎肝機能、貧血と赤血球疾患(血液疾患)、免疫機能と炎症を分析するバイオマーカー9種に基づき、複数の手法にて生物学的老化を測定したところ、出産回数と生物学的老化にU字型曲線関係が認められた。
出産経験がなし・出産回数が少ない女性、出産回数の多い女性は、出産回数が3回あるいは4回の女性と比べ、老化速度が速まることが判明した。なお、老化速度の加速は、更年期を迎えた女性のみに確認された。
研究チームは、出産回数が閉経後の老化プロセスに影響を与えることは、閉経後の卵巣ホルモン消失に関係があると考える。
(画像はプレスリリースより)

Penn State
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