妊娠初期の飲酒による危険性
ヴァンダービルト大学医療センター(アメリカ)の研究チームは、「American Journal of Obstetrics and Gynecology」にて、妊娠5週目から10週目において、毎週、飲酒をした場合、流産リスクが8%増加すると発表した。
1週間あたりのアルコール摂取量に関わらず、アルコール摂取による影響は妊娠9週目まで増加し、流産リスクが生じる。また、リスクは、摂取したアルコールの種類によって異なる。
妊娠初期のアルコール摂取と流産リスクにおける関係性
研究チームは、テネシー、ノースカロライナ、テキサスなどにて妊活中および妊娠初期の女性を対象に、妊娠期のアルコール摂取量とタイミング、摂取したアルコールの種類を調査し、妊娠20週未満までの流産リスクに関連する要因を検証した。
大半の女性は、妊娠検査薬で陽性反応が出たタイミング(少なくとも妊娠4~5週目)にて飲酒習慣を変えるといわれる。今回、被験者のうち5353人は、妊娠を自覚していない、陽性反応が出ない時期である妊娠1週目の飲酒が報告され、飲酒を止めた時期の中央値は妊娠29日であった。
約41%は妊娠検査薬の陽性反応後3日以内に飲酒習慣を変えたが、次の生理予定日頃(妊娠4~5週目)に飲酒を止めた女性は、アルコールを摂取していなかった女性に比べ、流産リスクが37%高くなった。
妊娠1週目は、胚が急速に発達し、器官発達のパターンが定まる。リスクは、胚発達の特別な段階におけるアルコール摂取に関連するパターンでピークに達しなく、アルコールの累積摂取量とリスクレベルにおける関連性は認められなかった。
研究チームは、妊娠中であっても少量のアルコール摂取は危険ではないといわれるが、胎児性アルコール依存症の防止を含め、複数要因から、妊娠が成立する時期、妊娠期間中は、アルコール摂取を控えることが求められると説明する。
流産リスクの軽減には、市販の妊娠検査薬を活用して次の生理予定日(妊娠4~5週目)前に妊娠の有無を明確にし、妊活中および妊娠可能性がある女性は飲酒を止めることが重要であると強調する。
(画像はVANDERBILT UNIVERSITY MEDICAL CENTERより)

VANDERBILT UNIVERSITY MEDICAL CENTER
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