新たな男性不妊の治療法
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、「Proceedings of the National Academy of Sciences」にて、精原幹細胞(SSCs)の特性をもつ細胞の培養方法を開発したと発表した。
最適な培養環境に対する課題
これまで、男性不妊の治療法として、精巣の精原幹細胞を用いた治療(精巣の精原幹細胞を体外にて培養し、完全な機能をもつ精子まで成熟させるアプローチ)が提唱されていた。
しかしながら、体外の環境下にて精原幹細胞を培養させるうえで、培養環境が課題となった。これまで、精原幹細胞の最適な培養環境・条件は解明されておらず、多くの研究者・専門家らが体外での精原幹細胞の培養を試みたが、全て失敗に終わり、成功例は皆無であった。
精原幹細胞による不妊治療
同大学のマイルズ・ウィルキンソン(Miles Wilkinson)教授は、シングルセルRNAシーケンスを含む複数の技術によって裏付けられたアプローチは、医療機関にてSSC治療を導入するうえで、重要なステップになると説明する。
精原幹細胞を用いた治療では、65歳以上の男性が父親になることを可能にする。精原幹細胞は自己複製を続けて精子まで成長し、数秒ごとに1000個以上の精子が生成される。
しかしながら、精巣の細胞群から精原幹細胞を特定することは極めて困難であり、今回、シングルセルRNAシーケンスにてヒト精原幹細胞に特有の分子特性を解明できたのは大きな進歩であるという。今後、医療的な使用を目指し、研究を継続する。
(画像はプレスリリースより)

UC San Diego Health
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