無症候性で早産リスクの高い女性に対する診断技術
ウォーリック大学の研究チームは、「Scientific Reports」にて、新たに揮発性有機化合物(VOC)分析技術を開発し、無症候性(病気を有しているが徴候・症状が認められない状態)で早産リスクの高い女性において早産可能性の診断が可能になると発表した。
新たな技術により、出産1ヶ月前の検査精度は最大73%となった。定期検査・妊婦健診にて早産リスクがあると特定された女性にとって、費用対効果は高く、非侵襲的な臨床現場即時検査(POCT:医療現場で行うリアルタイム検査)であると期待される。
細菌性膣炎と早産リスク
当初、研究チームは、細菌性膣炎の膣内に存在する揮発性有機化合物を分析した。細菌性膣炎は性感染症ではなく、膣内細菌のバランスが崩れ、異常に増殖して膣内で炎症を引き起こす。これまで、妊娠初期の細菌性膣炎は、早産リスクを増加させると立証されていた。しかしながら、細菌性膣炎の治療によって早産リスクが軽減することはない。
揮発性有機化合物分析技術では、大気中に排出された揮発性有機化合物(常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質)を特徴付ける。研究チームは、定期検査・妊婦健診にて早産リスクを指摘され、治療を受けている女性を対象に、妊娠中期・後期に膣スワブを採取して分析した。
被験者の妊婦らは、過去に早産歴がある、早産リスクを高める病状であったが、一方、それ以外の指標はなく、無症候性とみなされた。機械学習技術を駆使し、定期検査・妊婦健診で採取した膣スワブから細菌性炎症の兆候がある揮発性有機化合物のパターンを見分けられるように学習させた。
これにより、早産リスクがある揮発性有機化合物パターンの特定が可能となった。初回の検査精度は66%、無症候性で早産リスクの高い女性216人に対する検査(二回目)では73%となった。将来的には、費用対効果が高い、非侵襲的かつ迅速な早産検査になると期待される。
(画像はプレスリリースより)

WARWICK
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