体外受精と脳性麻痺リスク
コペンハーゲン大学病院の研究者らは、ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の「ESHRE会議」(オンライン開催)にて、過去20年間にて、体外受精児の脳性麻痺リスクが50%以上減少したと発表した。
デンマークの研究者らが実施した大規模調査によると、50年前では、生殖補助医療にて誕生した子供は、脳性麻痺リスクが顕著に高くなると報告されていた。絶対的リスクは小さいものの、体外受精と脳性麻痺には関連性があると懸念されてきた。
体外受精による多胎妊娠の危険性
今回、研究チームが、デンマーク・フィンランド・スウェーデンの出生コホート研究を用いて、大規模調査を実施したところ、過去20年間において、主に体外受精による多胎妊娠・出産率の減少より、体外受精児の脳性麻痺リスクが50%以上減少したことが認められた。
調査は、3ヶ国の体外受精児を対象とした出生コホート研究(体外受精児111844人、デンマーク1990~2010年・フィンランド1990~2010年・スウェーデン1990~2014年誕生)が用いられた。また、被験者の子供に対して、デンマーク・フィンランドは2014年まで、スウェーデンでは2018年まで国民健康記録より追跡調査を行った。
研究チームは、現在、体外受精にて複数胚移植が選択される傾向が強いが、今回の調査結果を通して、体外受精の多胎妊娠と子供の脳性麻痺リスクにおける関連性が認められ、単一胚移植を選択することを推奨する。
早産は脳性麻痺リスクを増加させるといわれ、体外受精の多胎妊娠率の減少は、早産率の低下につながる。それゆえ、脳性麻痺の原因は、大部分が未解明であるものの、早産、低出産体重、多胎妊娠が主な危険因子であると考えられる。脳性麻痺の有病率は、妊娠人数に比例して増加し、結果として、早産や低出産体重リスクを高めるという。
(画像はeshreより)

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