受精18日目から21日目のヒト胚モデル
ケンブリッジ大学(イギリス)の研究チームは、「Nature」にて、ヒューブレヒト研究所(オランダ)の協力を得て、ヒト胚性幹細胞より初期段階の3D胚細胞モデルの作製に成功したと発表した。
今回、作製に成功した胚モデルは、受精18日目から21日目の初期胚がもつ重要な要素に類似する。新たな胚モデルを通して、これまで直接的に観察できなかった人体形成の基礎過程を観察できるという。ボディープラン(人体構造の配置)プロセスの理解は、先天性欠損、先天性疾患の原因解明、妊婦健診・検査の発展につながる。
人体の発達における「ブラックボックス」
ボディープラン(人体構造の配置)は生物の青写真であり、原腸形成(動物の一生で最初に生じる複雑な形態形成運動)を通じて行われる。
原腸形成期において、胚には3つの異なる細胞層(外胚葉、中胚葉、内胚葉)が形成される。胚の細胞層は、その後、人体の主要なシステムである神経・筋骨格・消化管(外胚葉:神経、中胚葉:筋骨格、内胚葉:消化管)を発生させる。
出生異常の多くは受精14日目を超えた胚にて生じるが、受精14日目以上のヒト胚の培養は法的規則にて禁止されており、原腸形成は人体の発達における「ブラックボックス」と比喩される。
それゆえ、今回のヒト胚モデルの作製成功によって、原腸形成期に対する理解を深め、流産・不妊・遺伝子疾患を含む問題の解明を促進させると期待される。
(画像はプレスリリースより)

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