新型コロナウイルス感染症と母乳
中国の研究チームは、「medRxiv」にて、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に感染した母親の母乳を介して、子供が新型コロナウイルスに感染する根拠はないと発表した。
更なる研究の必要性はあるものの、妊娠後期および産後に母親が新型コロナウイルス感染症に感染した場合、母乳を介してウイルスが母親から子供へ感染することはないと報告された。
母乳・母親の血液・子供の血液における「SARS-CoV-2」
研究チームは、妊娠期および産後の女性23人を含む女性を対象に、小規模の無作為調査を実施した。母乳、母親の血液、子供の血液(出生前・後)に対してPCR検査を行ったところ、陰性反応であった。
子供を出産した女性のうち、大半は帝王切開にて分娩し、子供の出生体重は約3キロであり、新生児仮死はなかった。産後1ヵ月に新型コロナウイルスの感染が判明し、14人は PCR検査で陽性反応、9人は陰性であったが胸部CTにて診断された。
また、誕生した子供に対してPCR検査を行ったところ、全てに新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルス「SARS-CoV-2」は確認されず、追加調査期間中、健康状態は良好であった。なお、子供6人は完全母乳あるいは、粉ミルクと母乳の混合であった。
新型コロナウイルスに対する抗体
母乳もウイルスに対して陰性であった。IgM抗体が確認されたが、SARS-CoV-2は検知されなかった。抗体が子供を新型コロナウイルス感染症より守っていると考えられる。
一方、IgG抗体は母乳内に確認されなかった。しかしながら、数件はPCR検査が陰性反応であった後に母乳を採取し、2人は産後12ヵ月と15ヵ月であったことも影響する。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するIgG抗体およびIgM抗体より、正確な感染段階や感染歴が示唆できる。今後、更なる研究が必要であり、母乳の安全を証明する必要があるという。
(画像はmedRxivより)

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