妊娠前の感染症罹患による影響
ウォルター・イライザホール医学研究所(オーストラリア・メルボルン)の研究チームは、「Cell Reports」にて、マウスによる動物モデル実験を通して、妊活前に父親となる男性がトキソプラズマ症に感染していた場合、子供の脳発達および行動に悪影響を及ぼすと発表した。
トキソプラズマ症とは、単細胞の寄生虫「トキソプラズマ原虫」にて引き起こされる感染症である。トキソプラズマ症の感染者は少なくないが、通常、症状は無い、あるいは軽症で済む。しかしながら、妊娠中の女性、新生児・乳児、免疫力が弱い人が感染すると、症状は深刻化する。
父親の感染症が子供の健康に与える影響
研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、妊活前に父親となる男性がトキソプラズマ症などの感染症に罹患していた場合、父親の感染症が子供の健康に与える影響について検証した。
精子を介してエピジェネティックな情報の移行を観察したところ、トキソプラズマ症に感染した雄マウスの精子には、子供の脳に問題を生じさせるエピジェネティックな変化が認められた。
精子に含まれる小さな分子であるRNA(リボ核酸)量はトキソプラズマ症の影響を受け、子供の遺伝子発現を変化させ、脳発達および行動に問題を生じさせた。結果的に、父親のトキソプラズマ症罹患により、子供の脳機能および行動に変化が生じた。
(画像はプレスリリースより)

Walter+Eliza Hall
https://www.wehi.edu.au/