膣内細菌と早産の関連性
カリフォルニア大学の研究チームは、「Frontiers in Microbiology」にて、早産(妊娠37週未満の出産)を経験した女性は、産道に多種多様な細菌・バクテリアが存在する傾向にあると発表した。
また、特定のバクテリアに着目したところ、細菌・バクテリアと早産における関連性が認められた。今回の発見は、ハイリスク妊娠のスクリーニングテストの開発を後押しする。
早産に伴うリスク
早産は妊娠37週未満の出産と定義され、複雑な合併症を伴うことが多い。早産児は、母親の子宮外で生存するには未熟な状態で誕生し、神経発達遅延、乳幼児死をはじめ、医療的問題が生じる。
早産の要因として、母体年齢の上昇、妊娠中のストレス、母親の栄養失調などが挙げられるが、陣痛が早まるメカニズムは解明されていない部分が多い。
膣マイクロバイオームと早産リスクにおける関係性
研究チームは、5データベースから女性400人以上を対象に、3000以上の膣マイクロバイオーム(膣内細菌叢)サンプルを分析した。
分析結果より、膣マイクロバイオームと早産リスクにおける関係性が認められた。早産を経験した女性では、満期産の女性と比べ、膣マイクロバイオームの種類が多くなった。特に、妊娠初期の早産を経験した女性では顕著であった。
また、早産を経験した女性において、ラクトバチルス(乳酸菌)、コリオバクテリウム綱、クロストリジウムなど特定の膣バクテリアが検知されることが多かった。先行研究では、ラクトバチルスが満期産で出産した女性に共通して検出されると報告されている。
一方、コリオバクテリウム綱、クロストリジウムは、今回の研究で初めて、早産の予兆になると認められた。研究チームは、今後、正常妊娠の女性の膣バクテリアを特定したうえで、早産と関連性のあるバクテリアを検証していく必要があるとの見解を示している。
(画像はFrontiers in Microbiologyより)

Frontiers in Microbiology
https://www.frontiersin.org/