PTSDと道徳的傷害による影響
アメリカ合衆国退役軍人省は、「Journal of Traumatic Stress」にて、PTSD(心的外傷ストレス障害)と道徳的傷害の症状が重症度するにつれて、妊娠合併症リスクが高まると発表した。
PTSDの症状には、トラウマ、フラッシュバック、悪夢、麻痺・無感覚、突然の怒り、過覚醒が含まれる。例えば、女性軍人では戦争・戦闘、児童虐待、セクシャルハラスメントを経験し、PTSDを発症することが多い。また、道徳的傷害は、深く保持されている道徳的信念の違反に関連する苦痛であり、恥・罪悪感・士気低下の感情を伴う。
PTSDと道徳的傷害が妊娠に与える影響
退役軍人省ボストン・ヘルスケアシステム、ボストン大学医学部の研究員であり、論文主著者であるのヤエル・I・ニルニ(Yael I. Nillni)氏は、治療を必要とする女性を特定するうえで、周産期(出産前後の期間)にPTSDと道徳的傷害のスクリーニング検査を行うことが重要であると考える。
先行研究では、PTSDが妊娠糖尿病・子癇前症・早産リスクを高めると報告されている。今回、研究チームは、3年内にミリタリーサービスから離れ、妊娠した女性軍人318人を対象に、PTSDと道徳的傷害が妊娠に与える影響を検証した。
PTSDおよび道徳的傷害の症状の増加は、軽度のPTSD症状と比べ、妊娠により大きな影響を及ぼし、妊娠糖尿病・子癇前症・早産リスクを高めることが認められた。症状が重症化した場合、妊娠合併症の発症リスクが高まる。また、PTSDは、産後鬱・不安、自己説明困難な妊娠リスクを増加させると報告された。
(画像はプレスリリースより)

U.S. Department of Veterans Affairs
https://www.research.va.gov/