妊娠と脂肪肝
5月9日、カロリンスカ研究所(スウェーデン)は、プレスリリースにて、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の妊婦は早産リスクが3倍以上高くなると示した。
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患は、妊娠に悪影響を及ぼす可能性があるという。なお、研究論文は「eClinicalMedicine」に掲載されている。
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患が妊娠・出産に対して与える影響
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患とは、代謝異常を合併している脂肪肝(肝臓に脂質が過剰に蓄積している状態)であり、2型糖尿病などの代謝疾患、過体重や肥満によって疾患発生リスクは高まる。これまでは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれ、生殖適齢期の女性でも発症する。
そこで、研究チームは、スウェーデンのレジストリ・データを用いて代謝機能障害関連脂肪性肝疾患が妊娠・出産に対して与える影響について調査した。
実験群(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患である女性240人)と対照群(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患でない女性1140人)を比較したところ、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患によって早産リスクが3倍以上高くなることが認められた。
また、既往歴がある過体重または肥満の女性は、既往歴がない過体重または肥満の女性と比べて早産リスクは上昇した。ただし、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患の症状と早産リスクにおいて関連性はなく、重症度が高くなっても早産リスクは増加しなかったという。
早産リスクの増加は肥満だけでは説明できず、肝疾患自体が妊娠に対して悪影響を及ぼす可能性があると示唆される。
(画像はプレスリリースより)

Karolinska Institutet
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