精子選別における亜鉛の重要性
11月27日、アルゼンチンの研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、精子選別に亜鉛を添加した培地を用いた場合、精子の遊泳能力が向上すると発表した。
亜鉛は、精子形成においてクロマチンの安定性や精子の運動性に関与し、酸化ストレスから保護する。精子形成過程にて亜鉛が適した濃度であると、精子DNAの完全性と運動性は保たれ、正常な精子形態の割合や精子の運動性は高まるという。
亜鉛と精子の質
今回、研究チームは、正常精液男性203人を対象に亜鉛を添加した培地によるスイムアップ法の効果について検証した。
介入群(亜鉛を添加した培地)と対象群(亜鉛を添加しない培地)を比較したところ、亜鉛を添加することにより、スイムアップにて回収した精子の精子DNA断片化が減少することが認められた。また、DNA断片化とあわせて、クロマチン成熟度や精子の運動性に改善がみられた。
現在、生殖補助医療では、 精子選別としてスイムアップ法が選択される傾向にある。しかしながら、スイムアップ法では、精子DNAの断片化のリスクを伴う。
今回、培地への亜鉛の添加は、スイムアップにて回収された精子にとって最適な生理学的条件であると示された。それゆえ、研究チームは、今後、精子選別において亜鉛を添加した培地を検討する必要があると提唱する。
(画像はJournal of Assisted Reproduction and Geneticsより)

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