帝王切開に伴う抗生物質投与による影響
8月14日、フローニンゲン大学(オランダ)の研究チームは、「Cell Host & Microbe」にて、帝王切開に伴う抗生物質の予防的投与は、子供の腸内細菌叢にほとんど影響しないと発表した。
帝王切開中の抗生物質投与が子供の腸内細菌叢に対して与える影響は限定的であり、むしろ、授乳こそが子供の腸内細菌叢に大きな影響を与えるという。
抗生物質投与のタイミングと乳幼児の腸内細菌叢
帝王切開の場合、感染症を予防するため、帝王切開術前または術後(臍帯クランプ後)に抗生物質が投与される。
そこで今回、研究チームは、予定帝王切開で分娩し、抗生物質の予防的投与を受けた女性を対象にランダム化比較試験を行い、抗生物質投与のタイミングと乳幼児の腸内細菌叢における関係性について検証した。
帝王切開に伴う抗生物質投与による影響を比較したところ、抗生物質投与のタイミングと子供の腸内細菌組成、代謝経路、短鎖脂肪酸、胆汁酸において有意な関連性は認められなかった。
一方、菌株レベル(腸内細菌の最小単位)、抗生物質耐性遺伝子の負荷では、抗生物質投与のタイミングによる影響を受け、微妙な相違が確認された。
帝王切開術前または術後、母親に投与された抗生物質は乳児の臍帯血に移行するものの、乳幼児の腸内細菌叢に限定的な影響しか及ぼさないという。乳児の腸内細菌叢に対して決定的な影響を与えるのは、授乳方法であるという。
(画像はCell Host & Microbeより)
Cell Host & Microbe
https://www.cell.com/