農薬や殺虫剤による影響
8月6日、アリゾナ大学(アメリカ)の研究チームは、プレスリリースにて、妊娠前および妊娠初期の農薬や殺虫剤曝露により、死産リスクが高まると発表した。
妊娠前90日間または妊娠初期において、有機リン系殺虫剤などの農薬や殺虫剤を使用する区域から約500m以内に住んでいる場合、死産リスクが増すと報告された。なお、研究論文は「the American Journal of Epidemiology」に掲載されている。
殺虫剤と死産リスクにおける関係性
研究チームは、2006年から2020年の期間、アメリカにおいて特定の農薬を使用する区域から500m以内を対象に、出生証明書(出生1237750件、死産2290件)データを用いて殺虫成分27種類が出生に対して与える影響について検証した。
データを分析したところ、妊娠前90日間または妊娠初期にピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤の散布区域から500m以内に居住する女性では、死産リスクが増すことが認められた。
なかでも、アセフェート(有機リン系殺虫剤)と死産には強い関連性が確認され、妊娠初期のアセフェート曝露によって死産リスクが倍増したという。あわせて、妊娠前90日間のシフルトリン(ピレスロイド系殺虫剤)曝露は、死産リスクを約2倍に増加させた。
研究チームは、農薬や殺虫剤全体ではなく、特定の殺虫成分が独自のリスクをもたらし、とりわけ、妊娠前・妊娠中の農薬曝露は生殖結果に影響を及ぼすと推測する。
(画像はプレスリリースより)
THE UNIVERSITY OF ARIZONA
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