妊娠中のインフルエンザ感染に対する治療
7月2日、ロイヤルメルボルン工科大学(オーストラリア)の研究チームは、プレスリリースにて、低用量アスピリンの服用は子癇前症(妊娠高血圧腎症)の治療だけでなく、インフルエンザ感染に伴う妊娠合併症を改善できると発表した。
今回、動物モデル実験を通じて、インフルエンザ感染による血管炎の治療において、低用量アスピリンの有用性が確認された。
妊娠中のインフルエンザ感染に対する低用量アスピリンの有用性
妊娠中のインフルエンザ感染は、子癇前症に似ているといわれる。インフルエンザウイルスは血管系の炎症、血行の悪化、胎盤への血流減少を引き起こし、胎児の成長・発達を妨げる。
そこで今回、研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、妊娠中のインフルエンザ感染に対する低用量アスピリンの有用性について検証した。なお、低用量アスピリンには、体内で炎症を引き起こす化学物質の生成を抑制する効果があり、子癇前症の予防に用いられる。
妊娠中の母マウスがA型インフルエンザに感染した場合、子マウスは、非感染の母マウスから誕生した子マウスと比べて小さく、血液中の酸素不足ならびに血管の発達不良も顕著であったという。
一方、インフルエンザに感染した母マウスに対して低用量アスピリン治療を行ったところ、炎症の解消、子マウスの成長・発達の改善が認められた。
ヒトを対象とした臨床実験は未実施であるものの、低用量アスピリンは子癇前症の治療だけでなく、インフルエンザ感染症にも応用できる可能性が示唆された。低用量アスピリンによって胎盤への血流は改善され、その効果は非常に有望であるという。
(画像はプレスリリースより)
RMIT UNIVERSITY
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