胚の凍結保存期間による影響
7月3日、中国の研究チームは、「Human Reproduction」にて、凍結融解胚移植において、胚の凍結保存期間は妊娠結果に影響を与えると発表した。
胚の凍結保存期間と妊娠結果(着床率、出生率)には関連性があり、5年以上凍結保存された胚は凍結融解胚移植の結果に悪影響を及ぼすと報告された。
つまり、胚の凍結保存期間が5年を経過した場合、良好胚盤胞を用いた凍結融解胚移植であっても着床率および出生率が低下するという。
胚の凍結保存期間と妊娠結果における関係性
これまでの研究では、比較的短い期間(5年未満)凍結保存された胚に焦点をあて、その有用性や安全性について議論されてきた。
今回、研究チームは、2016年1月から2022年12月31日の期間、中国の医療機関にて実施された凍結融解胚移植サイクル36665回を対象に、5年以上凍結保存された良好胚盤胞の有用性や安全性について検証した。
胚の凍結保存期間によって3グループ(2年未満31565回、2年以上5年未満4458回、5年以上642回)に分類して比較したところ、2年以上5年未満のグループにおいて着床率ならびに出生率が最も高くなった。
また、凍結保存期間が5年未満である場合、胚の凍結保存期間は生化学的妊娠(化学流産)、多胎妊娠、子宮外妊娠、流産に影響を与えないことが確認された。
一方、凍結保存期間が5年以上のグループでは、着床率ならびに出生率は低下した。凍結融解胚移植の回数、胚の質に基づく分析より、凍結保存期間が5年以上の場合、胚の凍結保存期間が凍結融解胚移植の結果に悪影響を及ぼすことが示された。
あわせて、胚の凍結保存期間が長くなるほど在胎不当過大児(LGA児)、在胎不当過小児(SGA児)の確率は高まった。なお、胚の凍結保存期間と子供の性別、早産、出生体重における関係性は認められなかったという。
(画像はHuman Reproductionより)
Human Reproduction
https://academic.oup.com/