子宮内膜症と痛み
12月23日、パリ大学(フランス)の研究チームは、「Human Reproduction」にて、子宮内膜症の痛みと生殖補助医療技術(ART)の出生率において関連性はないと発表した。
子宮内膜症に伴う重度の痛みは、生殖補助医療技術の結果に影響を及ぼすことはなく、出生率の低下には関連しないという。
子宮内膜症に伴う痛みと生殖補助医療の出生率における関係性
子宮内膜症は痛みと不妊が主な症状とされ、現在、生殖補助医療技術は、子宮内膜症による不妊の主要な治療とされている。
そこで今回、研究チームは、2014年10月から2021年10月の期間、不妊治療中の子宮内膜症患者354人(ARTサイクル711回、平均年齢33.8プラスマイナス3.7 歳、平均不妊期間3.6プラスマイナス2.1年)を対象に、子宮内膜症に伴う痛みと生殖補助医療の出生率における関係性を検証した。
なお、痛みの強度は、視覚的アナログスケール(VAS:特定の感覚や感情の強度を評価する尺度)に基づく。ART実施前、月経困難症(DM)、性交疼痛症(DP)、非周期性慢性骨盤痛、胃腸痛に伴う痛みの強度を10段階で評価したところ、被験者のうち242人(68.4%)がVASスコア7以上となり、重度の痛みを示した。
また、患者あたりの累積出生率は63.8%(226人)であったという。平均VASスコアより、重度の痛みがあった患者において、出産を経験した患者と出産をしなかった患者に有意な差は認められなかった。
(画像はHuman Reproductionより)
Human Reproduction
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