妊娠初期の身体活動による影響
11月20日、ベルゲン大学(ノルウェー)などの研究チームは、「scientific reports」にて、妊娠初期における母親の身体活動は、卵黄嚢の大きさや成長に影響を与えると発表した。
つまり、母親の身体活動は、段階的かつ性特異的に卵黄嚢の大きさに影響を与えることが判明した。
母親の身体活動が子宮内環境と初期胚の発育に与える影響
卵黄嚢は初期の発生段階で形成され、胎盤が完全に形成されるまで胎児に対する栄養供給、酸素・二酸化炭素のガス交換の役割を担う。また、全ての成長段階を通して、タンパク質合成、消化管形成、幹細胞生成、造血を行う。
これまで、母親の身長、妊娠中の体重増加や睡眠時間をはじめ、母親側の複数要因が、卵黄嚢の大きさを左右すると考えられてきた。例えば、母親の身体活動は改善可能なライフスタイル要因であり、血糖コントロール、体重増加、妊娠結果と関連する。
そこで、今回、研究チームは、健康な女性196人(20~35歳、BMI18~30、非喫煙者、規則的な月経周期、自然妊娠可能)を対象に前向きにデータをとる縦断研究を行い、母親の身体活動が子宮内環境と初期胚の発育に与える影響について検証した。
腕時計型小型高感度加速度センサー「アクチグラフ」を用いて、まず、妊娠前の身長と体組織、身体活動量を測定した。その後、妊娠7週目には胚生存率、妊娠期間、卵黄嚢を評価し、妊娠10週目で卵黄嚢を計測した。そして、妊娠13週目に母親の身体活動、体組織を再び測定した。
データ分析を通じて、妊娠7週目では、男児の場合、妊娠前の身体活動の増加によって卵黄嚢が大きくなることが認められた。ただし、女児の場合、身体活動による影響は受けなかったという。
一方、妊娠10週目では、胎児の性別に関係なく、身体活動は卵黄嚢の大きさに影響を与えた。男児の場合、卵黄嚢の大きさと身体活動において負の相関が報告されたが、女児の場合では強い正の相関を示し、男児と比べて卵黄嚢が24%大きくなった。
これより、研究チームは、影響は短期間的であるものの、母親の身体活動が卵黄嚢の大きさ、成長・発達速度に影響を与えると結論付ける。
(画像はscientific reportsより)
scientific reports
https://www.nature.com/articles/s41598-023-47536-4NEWS MEDICAL
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