子宮外妊娠の治療効果を改善
7月24日、オレゴン州立大学の研究チームは、プレスリリースにて、ドラッグ・デリバリー・システム(薬物送達システム)の開発により、吐き気、嘔吐、下痢、肝酵素の上昇、腎臓の損傷、肺疾患などの副作用を最小限に抑えつつ、子宮外妊娠のメトトレキサート(MTX療法)の効果を大幅に高められると発表した。
ドラッグ・デリバリー・システムとは、薬剤を必要な時に必要な場所へ必要な容量を届ける配送システムである。標的部位へ送達することで薬剤の効果は最大限に高められ、副作用は低減できるという。なお、研究論文は「Small」にて掲載されている。
メトトレキサートのドラッグ・デリバリー・システムとしてのポリマーソーム
子宮外妊娠(異所性妊娠)とは受精卵が子宮内膜以外に着床する状態であり、約98%は卵管で発生するといわれる。
そもそも、受精卵が成長できるのは、子宮内のみである。それゆえ、子宮外妊娠での妊娠継続は不可能となり、母体の生命に関わるケースも少なくない。
自然排出・自然治癒せずに子宮外妊娠が進行した場合、胎児を含む受胎産物が破裂する可能性が高まり、破裂に伴い腹腔内出血や外出血による出血性ショックが起こり、母体は死に至ることもあるという。
また、多くのケースにおいて自覚症状がないため、胎児を含む受胎産物が破裂する前に治療する必要がある。現在、子宮外妊娠(未破裂のケース)では薬物療法が適用され、抗がん剤の一種である「メトトレキサート(MTX)」が用いられている。
今回、研究チームはマウスを用いた動物モデル実験を行い、子宮外妊娠のマウスに対して高分子ナノソーム(ポリマーソーム)を介してメトトレキサートを投与したところ、比較的低用量で妊娠を終了できることが確認できた。
(画像はプレスリリースより)
Oregon State University
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