PCOSの原因とは
7月5日、カロリンスカ研究所(スウェーデン)は、プレスリリースにて、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因は男性ホルモン「アンドロゲン」であり、免疫細胞「B細胞」ではないと発表した。
PCOSはB細胞(免疫系の抗体を生成する細胞)によって引き起こされるものではないという。ただし、PCOSにおけるホルモンバランスの変化にはB細胞の変化が伴うと報告された。なお、研究論文は「eLife」に掲載されている。
B細胞が多嚢胞性卵巣症候群の発症に対して与える影響
PCOSは排卵に関わるホルモンバランスの変化によって生じると考えられる。最近の研究では、PCOSの女性では血中のB細胞数が多くなり、自己免疫抗体の産生を通じてPCOSの症状に寄与していることが認められた。
そこで、まず、研究チームは、PCOSの女性から採取した血液を分析したところ、PCOSの女性では、健康な女性と比べてB細胞集団に異型が頻繁に生じることが判明した。これらにはダブルネガティブ細胞(DN細胞)と呼ばれる異種クラスターも含まれ、その一部は自己免疫機能を持っていた。
次に、マウスを用いた動物モデル実験を行い、B細胞が多嚢胞性卵巣症候群の発症に対して与える影響を検証した。
B細胞が欠損したマウスを高アンドロゲン状態にしてPCOSの女性のB細胞を移植しところ、PCOS発症は認められなかった。また、アンドロゲン受容体阻害剤を投与するとB細胞の変化は防止されたという。
これより、研究チームは、B細胞ではなく、アンドロゲンこそがPCOS発症に関与すると結論付ける。
(画像はプレスリリースより)
Karolinska Institutet
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