体外受精に伴うリスクとは
3月23日、オスロ大学(ノルウェー)の研究チームは、「BMJ Medicine」にて、体外受精による妊娠が将来の妊娠リスクを高める証拠はないと発表した。
これまで、体外受精など不妊治療による妊娠は、自然妊娠と比べてハイリスクであると考えられてきた。確固たる証拠はなく、不妊治療や生殖能力の低下への関与は不明であるものの、体外受精など不妊治療を用いて妊娠した場合、妊娠中のリスクは上昇し、陣痛・分娩に伴う合併症リスクが増加するという。
また、不妊治療が子供に対して与える影響に関しても解明に至っていなかった。今回、不妊治療は、自然妊娠と比べて妊娠合併症リスクおよび異常な妊娠転帰リスクが高くなることを示す証拠はないと報告された。
体外受精による妊娠と将来の妊娠リスクにおける関係性
研究チームは、ノルウェーの出生医療記録「Medical Birth Registry of Norway」を用いて、ノルウェー在住の男女100万人以上(1984~2002年生まれ)を対象に生殖歴や不妊治療歴を調査し、体外受精による妊娠と将来の妊娠リスクにおける関係性を検証した。
調査を通じて、不妊治療にて妊娠した場合、妊娠および出産合併症のリスク、生殖補助医療に伴うリスクが高まる証拠は示されなかった。
一方で実態数は少ないものの、不妊治療による妊娠では、アプガースコア(アプガー指数:出生児の生存能力を評価するためスケール)が86%上昇し、男の子が生まれる確率は僅かに(9~12%)低下した。ただし、限定的な調査であるため、今後、広範囲での調査が必要とされるという。
(画像はBMJより)
BMJ
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