早産を誘発する要因
1月13日、コロンビア大学ヴァジェロス医学大学院の研究チームは、プレスリリースを通じて、早産(妊娠37週未満の出産)と膣代謝物において関連性があると発表した。
化粧品や衛生製品などパーソナルケア製品に含まれる環境化学物質が膣内に蓄積することにより、早産リスクが高まることが認められた。なお、研究論文は「Nature Microbiology」(1月12日)に掲載されている。
膣代謝物と早産における関係性
これまで、膣マイクロバイオーム(膣内微生物)は重要な役割を担い、このバランスが乱れると早産をはじめ、妊娠合併症が生じるといわれてきた。
そこで、今回、研究チームは、妊娠中期の妊婦232人を対象に代謝物の検査を行い、メタボローム(生体内の細胞や組織、微生物によって生成される代謝物質)の観点から膣代謝物と早産における関係性を検証した。
700種類の異なる代謝物を測定したところ、早産を経験した女性は、満期出産・正期産の女性と比べて、複数の代謝物レベルが高い結果となった。
これらの代謝物は化学物質であり、有機化合物のジエタノールアミン、エチルβ-D-グルコピラノシド、酒石酸塩、エチレンジアミン四酢酸を含み、体内で生成されるものではなかった。
これより、環境曝露(生活環境にて化学物質などが体内に取り込まれること)と早産に強い関連性が認められた。パーソナルケア製品に含まれる環境化学物質が早産リスクを高めるという。
なお、今回の研究では、早産を誘発する化学物質の特定には至っていない。今後、更なる研究が必要とされるものの、有害な化学物質を制限することによって、早産リスクを軽減できると期待される。
(画像はプレスリリースより)
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