プロバイオティクスによる効果
7月4日、ジーランド大学病院(デンマーク)の研究チームは、「ESHRE2022」(7月3~6日、イタリア・ミラノ開催)にて、プロバイオティクスにより、膣内環境を最善の状態まで改善する効果はないと発表した。
体外受精の実施前、膣内環境のバランスが崩れている女性に対してラクトバチルス膣剤を投与しても体外受精に適した環境まで改善されることはないという。
プロバイオティクスによる膣内細菌叢の改善効果
体外受精の妊娠可能性には、生殖器官に自然に定着するバクテリアの種類を含め、複数の要因が影響を与える。プロバイオティクスを形成する善良なバクテリアは、膣内細菌叢のバランスが崩れた女性に対する治療として期待されてきた。
なお、プロバイオティクスは、人体に良い影響を与える微生物・善玉菌として知られている。
そこで、今回、研究チームは、2019年4月から2021年2月の期間、体外受精患者74人を対象にプロバイオティクスによる膣内細菌叢の改善効果を検証した。
不妊治療に先駆け、膣内細菌叢のバランスが崩れた女性に対してラクトバチルス膣剤を1日1錠あるいはプラセボを10日間経膣投与した。投与後の両群を比較したところ、ラクトバチルス膣剤に著しい改善効果は認められず、最善の膣内環境まで改善することはなかった。
しかしながら、プロバイオティクス投与群とプラセボ群において三分の一以上の被験者が、投与後1ヶ月から3ヶ月の間に膣内細菌叢が改善したと報告された。
今後、更なる研究の余地はあるものの、研究チームは、膣内細菌叢のバランスが崩れている場合、バランスが整うまで不妊治療の開始を遅らせることを提唱した。
(画像はESHREより)
ESHRE
https://www.eshre.eu/