凍結融解胚移植の成功率を左右する要因
9月18日、エメック・メディカルセンター、テクニオン・イスラエル工科大学(共にイスラエル)の研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、プロゲステロンとエストロゲンが凍結融解胚移植の出生率に影響を与えると発表した。
プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵巣ホルモン)は、卵巣から分泌される女性ホルモンであり、月経周期内で分泌量が変動する。
血中プロゲステロンおよびエストロゲンと凍結融解胚移植の出生率における関連性
研究チームは、2010年12月から2019年6月の期間、不妊治療患者568人(凍結融解胚移植921サイクル)を対象にデータ分析を行い、プロゲステロンおよびエストロゲンが凍結融解胚移植の出生率に与える影響を検証した。
今回、分析対象となったのは、患者自身の卵母細胞を用いた凍結融解胚移植サイクルであり、全てのサイクルにおいて、エストロゲン製剤「Estrofem(エストロフェム)2mg/8時間ごと経口投与」およびプロゲステロン膣剤「Endometrin 100 mg/8時間ごと投与」が使用された。
患者の血中エストロゲンおよびプロゲステロンを凍結融解胚移植の14日後に測定したところ、血中プロゲステロン量が出生率に大きな影響を与えることが確認された。プロゲステロン中央値は10.9ng/mlとなり、中央値より高い、あるいは低い場合、出生率に大きな差異が生じた。
あわせて、血中エストロゲン量と出生率においても、顕著な関連性が認められた。血中エストロゲン量が低い場合、出生率も低くなったという。
これより、研究チームは、血中プロゲステロン量および血中エストロゲン量が、凍結融解胚移植の出生率に大きく左右すると結論付ける。
(画像はJournal of Assisted Reproduction and Geneticsより)

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