男性不妊に関与する遺伝子
8月5日、国立衛生研究所(NIH)は、プレスリリースを通じて、PNLDC1遺伝子が、非閉塞性無精子症を起因とする男性不妊に関与する見解と発表した。
今回の発見は、遺伝子機能への理解を深め、精子形成に対して洞察をもたらし、非閉塞性無精子症の診断および治療に活かせると期待される。
なお、研究論文は、「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」に掲載されている。
非閉塞性無精子症を起因とする男性不妊とPNLDC1遺伝子
非閉塞性無精子症とは、精管に閉塞はないものの、精巣内での精巣形成に異常が生じて精液内に精子が全く見られない状態をいう。精子生産に異常をきたし、その結果、男性不妊が生じる。
研究チームが、非閉塞性無精子症の男性924人を対象にエキソーム解析を行ったところ、4人にPNLDC1遺伝子の突然変異が検知された。精巣組織を分析すると、精原細胞の減数分裂が正常に完了しておらず、精子細胞が形成されていなかった。
PNLDC1遺伝子は、ノンコーディング遺伝子(タンパク質を作る情報を持たない遺伝子)を分解する酵素をコードすることで機能する。ノンコーディング遺伝子は、タンパク質の生成に関与しないが、精巣で精細胞が形成される過程において多様な機能を持つといわれる。
研究を通じて、ノンコーディング遺伝子の分解に関与する酵素をコードするPNLDC1遺伝子が、非閉塞性無精子症を起因とする男性不妊に関与すると結論付けられた。
(画像はNIHより)

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