精子エピジェネティクスの臨床的価値
1月26日、アメリカの研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、男性不妊の治療において、精子エピジェネティクスの活用で最適な治療が予測できると示した。
精子のエピジェネティクス(DNAメチル化などの化学修飾による遺伝子調節状態)を解析することで、従来の精液検査だけでは把握できない精子の質を評価し、より個別化された治療方針の提示につながるとされる。
精子エピジェネティクスと不妊治療における関係性
研究チームは、2022年5月から2023年12月の期間、アメリカ国内10施設で不妊治療を受けた537件のSpermQT検査データを収集し、そのうちIUI結果が得られた202組、IVF-ICSI結果が得られた90組について、精子エピジェネティクスと妊娠率の関連を検証した。
SpermQTは、精子に特異的な1233の遺伝子プロモーター領域におけるDNAメチル化の安定性を測定し、エピジェネティックな調節不全の数に基づいて精子の質を「Excellent(優良)」「Normal(正常)」「Abnormal(異常)」の3段階で評価する検査である。
子宮内精子注入法(IUI・人工授精)では、精子のエピジェネティックな質と妊娠率に明確な関連が認められた。総運動精子数(TMC)が同程度であっても、精子のエピジェネティック異常がある男性では、正常(優良を含む)と分類された男性に比べて妊娠率が統計的に低かった。
一方、卵細胞質内精子注入法(ICSI)による体外受精では、精子のエピジェネティックな質による妊娠率の差は認められなかった。これは、ICSIが精子のエピジェネティックな異常による不利を克服できる可能性を示唆している。
(画像はJournal of Assisted Reproduction and Geneticsより)

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