帝王切開と子どもの健康
11月12日、福島県立医科大学福島ユニットセンターは、「Scientific Reports」にて、分娩方法と子どものアレルギー疾患に関連性はないと示した。
帝王切開で生まれた子どもは、経腟分娩で生まれた子どもと比べて、アレルギー疾患リスクの増加は認められなかったという。
子どものアレルギー疾患と帝王切開における関係性
近年、世界中でアレルギー疾患は増加傾向にある。日本も例外ではなく、アレルギー疾患は深刻な健康問題であり、子どもにおけるアトピー性皮膚炎、呼気性喘鳴(喘鳴)、喘息の有病率は高い。また、帝王切開による出産も世界的に増え続けている。
帝王切開で生まれた子どもは、経腟分娩で生まれた子どもと比べてサイトカイン(免疫系細胞から分泌されるタンパク質)や腸内細菌叢が異なることが知られており、複数の先行研究ではアレルギー疾患との関連性が指摘されている。
そこで今回、研究チームは、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を用いてアレルギー疾患と帝王切開における関係性について検証した。
エコチル調査参加者である母親74639人(帝王切開13756人、経腟分娩60883人)より収集した分娩方法、喘鳴、湿疹、喘息、アトピー性皮膚炎に関するデータに基づき子どものアレルギー疾患率を評価したところ、分娩方法と子どものアレルギー疾患において関連性は示されなかった。
経腟分娩で生まれた子どもと比べて、帝王切開で生まれた子どもでは、1歳までのアレルギー疾患(喘鳴、湿疹、喘息、アトピー性皮膚炎)の発症可能性は増加しなかったという。
(画像はscientific reportsより)

scientific reports
https://www.nature.com/articles/s41598-025-23252-z