体外受精と経穴貼付療法の併用
9月29日、中国の研究チームは、「Frontiers in Endocrinology」にて、経穴貼付療法は、卵巣子宮内膜症における体外受精の成功率を向上させると示した。
経穴貼付療法(AAT)とは、伝統的な中国医学における古典的な外用治療であり、経穴(ツボ)にテープを貼付する。今回、経穴貼付療法には卵巣におけるステロイドホルモン代謝異常を改善し、酸化ストレスを軽減させる効果があると報告された。
卵巣子宮内膜症に対する経穴貼付療法の効果
卵巣子宮内膜症は卵巣機能を損なわせ、体外受精の成功率を低下させる。そこで今回、研究チームは、体外受精を受ける女性81人を対象に、経穴貼付療法による効果について検証した。
実験群(実薬による経穴貼付療法・卵巣子宮内膜症)27人、プラセボ群(偽薬による経穴貼付療法・卵巣子宮内膜症)26人、対照群(経穴貼付療法なし・男性起因による不妊)28人の体外受精結果を比較したところ、経穴貼付療法による効果が認められた。
実験群は、対照群より排卵誘発に伴うGnRHアゴニスト投与量ならびに排卵刺激期間が有意に少なく、採卵数はほぼ同じであった。プラセボ群と比べて卵母細胞数、受精卵数、移植胚数は増加したという。また、良好胚盤胞発生率は、実験群が有意に高く、月経周期に伴う痛みは緩和した。
卵胞液(卵子を取り囲む液体)に含まれる代謝物を解析したところ、経穴貼付療法には卵巣におけるステロイドホルモン代謝を回復させ、酸化ストレスを軽減させる効果があると示された。これにより、卵巣子宮内膜症の体外受精結果は改善し、月経周期に伴う痛みが和らぐと考えられる。
(画像はFrontiers in Endocrinologyより)

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